マルチコアCPU/GPU/FPGAを用いた高速化技術のグローバルリーダーである株式会社フィックスターズ(東証プライム:3687、代表取締役社長 CEO:三木 聡)の米国子会社Fixstars Solutions, Inc.(本社:米カリフォルニア州アーバイン、CEO:村瀬正名)は、2023年7月より米国スタンフォード大学の教授で、幹細胞研究の権威であるIrving Weissman博士が率いるWeissman Labとの共同研究を開始すると発表しました。
今回の共同研究では、マウス内に見られる骨髄の血管細胞や、骨格幹細胞の間質細胞をターゲットにしています。Weissman博士は、in-situ seq法(in situ sequencing)の一種である、ExSeq法(Expansion Sequencing)[1]の利用を計画しています。この新しい手法を用いることにより、従来のDNA解析では得られなかった、新たな発見が期待されています。
ExSeq法(Expansion Sequencing)をはじめとする、生体内シーケンシング(in situ Sequencing)は、RNA塩基配列とRNAが細胞内にどのように分布しているかを同時に特定する技術で、癌の研究や治療、新薬の開発で注目されています。一方、塩基情報とRNA分布情報(3次元)を同時に解析する必要があり、大量のデータ処理が必要となります。
Fixstars Solutionsでは、Weissman Labの実験によって生成される、高解像度画像を含む大量のデータの解析処理を受け持ちます。GPUでの並列処理を駆使した高度なソフトウェア開発により、さらなる処理の高速化を目指し、Weissman Labの研究活動を加速します。
Fixstars SolutionsおよびWeissman Labは、幹細胞生物学研究の未来を変え、世界中のライフサイエンス分野への貢献を目指しています。
フィックスターズグループは、今後もソフトウェアの高速化サービスを通じて様々な業界の発展に貢献してまいります。
注1
ExSeq法(Expansion Sequencing)について
(1)プレスリリース:Fixstars Solutions、共著論文が米サイエンス誌に掲載(2021-02-08)
https://news.fixstars.com/2152/
遺伝子の塩基配列を解析する「シーケンシング」の新手法である「ExSeq法(Expansion Sequencing)」とその研究成果を報告しました。
ExSeq法とは、生体内(in situ)リボ核酸(RNA)シーケンシング(in situ Sequencing、in-situ seq法)の一種で、塩基配列とRNAの細胞内分布を同時に調べることが可能です。
本論文では、比較的安価な光学顕微鏡において、RNAの分布を高解像度で明らかにしました。
また、Fixstars Solutionsのソフトウェア高速化技術と高速ストレージの組み合わせにより、分析時間の大幅短縮に成功しました。
(2)米サイエンス誌 掲載論文:
Expansion sequencing: Spatially precise in situ transcriptomics in intact biological systems
29 Jan 2021, Vol 371, Issue 6528, DOI: 10.1126/science.aax2656
https://science.sciencemag.org/content/371/6528/eaax2656
株式会社フィックスターズについて
フィックスターズは、”Speed up your Business” をコーポレートメッセージとして掲げるテクノロジーカンパニーです。マルチコアプロセッサを効率的に利用するためのソフトウェアの並列化および最適化と、省電力かつ高速IOを実現する新メモリ技術を活用したアプリケーションの高速化を通じて、医療、製造、金融、エンターテインメントなど、様々な分野のお客様のビジネスを加速し、グリーンITを実現しています。
https://www.fixstars.com/ja/
Fixstars Solutions, Inc.について
フィックスターズ米国子会社のFixstars Solutionsは、ソフトウェア開発企業であり、ソフトウェアの高速化技術におけるグローバルリーダーです。マルチコアプログラミング、GPUアクセラレーション、SIMD化など高度なソフトウェア最適化を通じて最高のパフォーマンスソリューションと省エネを追求し、様々な業界のお客様のビジネスを加速していきます。
https://us.fixstars.com/
Weissman Labについて
Irving Weissman博士は、米国スタンフォード大学医学部幹細胞生物学および再生医学研究所の所長を20年近く務めていました。マウスとヒトの両方で造血幹細胞を初めて精製したことから、「造血の父」とも呼ばれています。
博士が率いるWeissman Labでは、健康や病気における幹細胞生物学と、マクロファージ活性化療法(がんに対する免疫療法)の開発について研究しています。
https://med.stanford.edu/stemcell/institutefaculty/weissman.html
関連情報
ケーススタディ:GPUとフラッシュストレージによるIn-Situシーケンシングの高速化
https://us.fixstars.com/case#insitu